大学中退者は年間約8万にのぼり、就職状況はよくないといった記事をよく見かけます。しかし、実際のところ大学中退者のその後はどうなのでしょう。
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大学中退した人のその後
特に工学系の場合志半ばで大学を去っていく人も少なくないようです。最近入社した人に聞いた話だと周囲で中退した人は一定数いて、その人たちのその後の進路は製造メーカーの期間社員のほか、販売・サービス業など別分野に進まれたようです。
一方、私の身近な人にも大学を中退し就活をした人がいます。
その人の就職先は中堅自動車部品メーカー(技術職正社員として採用)でワークライフバランスも良く給料もそこそこもらえとても良い会社に就職できたようです。
その会社の中途採用(その人が応募したのと同一ポジション)の募集要項を見てみると大学院・大学・高専卒以上となっており大学中退者はこの資格を有していないわけです。
それでもその会社に魅力を感じたその人はダメもとでエントリーしたところ、無事書類選考も通過し部署面接⇒役員面接を経て見事採用されました。
しかもその人が就活を始めて約1か月でこの会社への採用を獲得し、少し拍子抜けしたくらいだそうです。
しっかり情報収集すれば優良企業への就職は十分可能
同じ中退者でも、片や製造メーカーの期間社員になった人もいれば中堅部品メーカーのエンジニアで採用された人もいる(期間社員でも無事正社員になれれば問題はないのですが...)。中退という選択肢を選んだ経緯も様々だと思います。
販売・サービス業に進路変更した人は本来の自分に合った職業を選択できたのかもしれません。
一方、工学系に興味はあるものの大学の理論中心の勉強に面白さを見いだせず中退。しかし、モノづくりには携わりたいと思ってメーカーの期間社員の道を選んだ人もいるかもしれません。
もしその人が私の知り合いの様に情報収集をしっかり行い、いくつかのメーカーに応募していれば技術職正社員で採用されていた可能性は十分にあったと思います。
ネットの情報に惑わされない
ネットで『大学中退 就職』などのキーワードを検索するとかなり不安な情報が出てくると思います。
ただでさえ自信を無くしたこの時期に、不安をあおるような記事ばかり目にすると完全にネガティブな思考に陥り、将来の選択肢を自ら狭めてしまう可能性もあります。
一部の中退者や第2新卒者をターゲットにした悪質なサイトなどは、人手が不足している業種・職種などへ集中的に人材を紹介して高い対価をもらっています。そのためには、まず今の状況がかなり厳しいことを伝えます。
また、転職エージェントで成績を上げようと躍起になっている一部の担当者は『あなたのような人はここしか入れるところはありません。』と対価の高い職業をゴリ押ししてくるケースもあるようです。
空前の人手不足
しかし、今は空前の売り手市場(2018年現在)です。
景気に関係なく人手が足りていない業種・職種に加え、不景気時にはなかなか求人が出なかった業種や職種でも中途採用の募集をしています。また、メーカーではエネルギーシフトにより自分が勤めている会社に不安を感じ、多くの若い社員が退職しているところもあるようです。そのような会社もまた今まで出さなかった求人を出しているでしょう。
そして、売り手市場になれば殆どの企業で資格要件を下げて募集します。
実際、数年前までは大卒以上が条件だった企業が、最近は専門・短大卒以上や学歴要件の設定なしに変更している案件をよくみます。
学歴が大学中退だから採用されにくいのではなく
そもそも、大卒でないと就けない仕事など殆どありません。
メーカーの技術職も、研究職など一部のポジションを除けば高卒の人が結構います。あのトヨタでさえ新卒で入社する技術職の中に工業高校卒の人が一定数います。
どちらかというと専門性が低い文系職種の方が学歴にこだわっているような気がします。ちょっと不思議な気がしませんか。
大手企業などが資格要件に大卒以上を設定しているのは、他の学歴に比べ優秀な人の割合が若干多いのと応募者数を絞ることが目的だそうです。
日本の学生全体の7割が文系の学生(女性は8割)で、大手企業には多くの応募者が集まります。すべての応募に対応していたら通常の業務に支障をきたしてしまうため、応募者数を絞る目的で大卒以上に設定しているのです。
しかし、多くの企業は学歴で仕事の遂行能力にさほど差がないことは知っています。ですから、応募者数が少ない中途採用になると学歴要件を下げる大手企業も少なくありません。広く募集して優秀な人を取りたいと考えているからです。中途採用からはスキル重視となるわけです。
中退が自分にとって不可抗力な出来事だったと説明できれば
中退者だから就く資格がない訳ではなく、中退に至るプロセスに企業が不安を抱いているから採用が厳しくなるのです。
逆に言えば中退に至ってしまったプロセスを相手が納得できるように説明することが出来れば十分採用を掴み取ることができます。
しっかりと情報収集と準備をしてワークライフバランスの優れた企業に就職しましょう。